北尾吉孝日記

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先日、欧州のポートフォリオマネージャーと話をする機会がありましたが、その中で「日本株のパフォーマンスが非常に良かった」ということを彼は言っていました。それはあくまでもユーロやドルで見た場合の日本株のパフォーマンスのことですが、例えばここ半年から一年で見ると対ユーロ、対ドルでかなりの円高になっていますので(対ユーロ:半年間で約-1.1%、一年間で約16.0%/対ドル:半年間で約2.7%、一年間で約5.8%)、このような現象が出て来ているということです(日経平均株価の上昇率:半年間で約17.8%、一年間で約5.8%/ユーロ建て日経平均株価の上昇率:半年間で約16.5%、一年間で約22.7%/ドル建て日経平均株価の上昇率:半年間で約20.9%、一年間で約11.9%)。つまり、為替によって外人のポートフォリオマネージャーの運用パフォーマンスも当然大きく変わってくるということで、その結果として、彼らが売るか買うか、あるいはホールドするかのアクションも非常に大きく変わってきます。従って、今はそのポートフォリオマネージャーは利食売りをしているようです。
話変って中国です。最近は中国農業銀行のIPOが話題になっていましたが、私は中国株と雖ももはやIPOが次々に良い値段がついて行くという状況ではないと考えており、特にあのような大型のIPO銘柄というものはそれ程上がらないのではないかというように思っています。私どもが未公開株の投資をスタートした2005年は、殆ど全ての銘柄は大幅高でありましたが、今後はやはりセレクティブにならなければならないというように考えています。勿論、私どもの狙い目は、値段の上昇率の低い超大型銘柄というよりも寧ろ業績堅調で利益成長率が高い中堅銘柄ですので、私は今まで通りの高パフォーマンスが期待出来るものと思っています。

中国について更に言えば、最近は不動産価格が天井をつけ下落し始めているということがよく言われますが、実際そのような部分があることも間違いないと思います。ただ問題は、これが嘗て日本が経験したような大きなバブルの崩壊というような形になり得るのかどうかという点であり、私の結論から言えば、ならないというように考えています。なぜかと言えば、ある種の不動産バブルが形成されたことも、不動産に対して銀行が融資を締めていることも、その結果として不動産市況が悪化し始めてきていることも全て事実ではありますが、所詮中国の不動産というものは土地が付いていない上物だけの世界であるからです。つまり上物(アパートの部屋)だけの世界は売買という形に直ぐ繋がるわけではなく、そこにアパートの部屋を貸すという行為が当然ありますので、例えば北京等の都市部の不動産賃料はそれ程下落しておらず、貸すことで十分な収益が上がるというような状況です。では、なぜアパート等の不動産賃料がそれ程急激に下落しないかと言えば、大量の人口が都市部を目掛けてどんどん移動しているという側面がありますし、また、海外から外国人が次々に来て、良い居住地があれば借りたいというような旺盛な需要があるからです。
日本の場合は上物だけの世界ではなく、それが土地と引っ付いており、土地を担保にお金を借りるというような状況でありました。だから貸すというよりも値上がり益で儲けようというような人間が大勢いて、そのバブルが破裂したことで大問題になったわけですが、私は中国の事情はこのような日本のものとは、違うのではないかというような感触を持っています。“違う”という意味は、上述した通り、それ程大きなバブルの崩壊というものは無いのではないかということであり、実際中国人と話していますと、彼らも同様の意見を述べています。
更に中国の輸出という側面から考えて見ますと、勿論、「元」が弾力化され多少強含みで推移していることも事実です。しかし、まだ政府の為替管理は相変わらずで大きな変動、つまり大幅元高にはなっていません。また、ユーロ圏での需要というものが若干落ち込んでいることも事実ではあります。ただ片方でユーロ圏全体として見れば、ユーロという通貨は非常に大きなダメージを受けましたが、そのお蔭でユーロ圏の中でもドイツを中心に輸出が伸びている国も沢山あり、そのような国は輸入も堅調に推移しているというような状況です。従って、この観点からも中国経済の今後についての懸念材料はそれ程無いというように感じており、それ故、今のところ中国について、私は余り大きな心配をしていません。




 

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