北尾吉孝日記

この記事をシェアする

先日、孫さんは「ソフトバンク新30年ビジョン」を華々しく打ち上げていました。彼が1981年に創業したソフトバンクという会社は、コンピュータソフトの卸業という業態でスタートしたわけですが、当時はそのような業態は無く、業として成り立つかどうかも判らない時分でした。当時はメインフレームが主流を占めており、その頃から徐々にダウンサイジング化が起こってパソコンの世界が急速に拡大して行くわけですが、そのような時分に彼は卸しているソフトを売るためにパソコンユーザをどんどん増やさなければならないということでパソコン雑誌の出版事業を手掛けようとしたりと、パソコンに関わるような様々な事業展開を彼はしてきたわけです。その後ソフトバンクという会社は幾度か業態を変化させながら、また子会社の充実も図りながら今日あるわけですが、今回の新ビジョンは30年というものが一つの節目であると彼自身も考えたということでしょう。

1983年、日経ビジネスにより「企業30年説」というものが唱えられましたが、2004年、再びその妥当性は如何なるものかということで新たに分析がなされました。その結論は「本当に生きが良いのは最初の10年」「元気な優良企業でいられるのは30年まで」ということで、「企業30年説」は現代においても妥当であるというものでした。それが妥当性を持つ理由は様々な要因が重なり合う複合的なものであろうと思いますが、例えば、30歳位で創業した人が60歳位で後継者にバトンタッチをしようとした場合、その時にはその創業者と苦楽を共にしてきた経営幹部達も歳を迎えており、そのような意味で継承上の困難というものがあるのかもしれません。あるいはプロダクト・ライフ・サイクルという考え方で、一つの商品をずっと売ってきた企業が、次々とより良い競合商品が出てくる中で終わりを遂げて行くというようなこともあるのかもしれません。あるいは新たなチャネルが現出してきて、既存のチャネルが負けて行くというようなこともあるのかもしれません。このように様々な要因により、この30年説の妥当性に関する結果が出ているということだろうと思います。

SBIグループについて言えば、創設して未だ10年と少しですので、今が本当に生きが良いところなのかもしれません。ただ私はこのグループを作る時から、上述した30年説が妥当となるような時期が将来くるであろうということを見越して、創業のミッション・ステートメントの中で、例えば、「新産業クリエーターを目指す(21世紀の中核的産業の創造および育成を担うリーディング・カンパニーとなる)」や「金融イノベーターたれ(従来の金融のあり方に変革を与え、インターネットの持つ爆発的な価格破壊力を利用し、より顧客の便益を高める金融サービスを開発する)」、あるいはよりダイレクトに『セルフエボリューションの継続(経済環境の変化に柔軟に適応する組織を形成し、「創意工夫」と「自己改革」を組織のDNAとして組み込んだ自己進化していく企業であり続ける)』というようなことを掲げております。そしてまた組織体についても、所謂大企業病を排除するという観点から、大きな企業で一つに纏めるということではなく、小さな企業の寄せ集めという形にして、出来る限り大企業病になり難いようなシステムを構築してきました。

ただ上述したことを含め、これまで私はそれなりに意味あることを色々とやってきたつもりではありますが、やはり一番大事なことは何かと言えば、それは役職員自身の「意味・意義への意思」というものではないかと私は最近思っています。「意味・意義への意思」とは何かと言えば、「自分のしている仕事の意味を本当に理解して、その意味を具現化するために一生懸命全力投球しているかどうか」「自分の考えていることについて、その意味を十分に分かって考えているかどうか」「あらゆる仕事・行動には、それなりの意味が無ければならないというような気持ちを持っているかどうか」というように、ある意味で人間だけの特権のことです。つまり、ルーティンで何も考えずに物事をこなすということではなく、どれだけ真剣になってその人間だけの特権を行使しているのかということこそが、結局最も大事なことではないかというように思っているわけです。私どもは、30年経っても隆々としているようなグループを作って行くべく、この意味・意義への強い意思を持ち続けて行きたいというように思っています。




 

(任意/公開)
(任意/非公開)

  • 小
  • 中
  • 大



Copyright © SBI Holdings, inc. All rights reserved.