北尾吉孝日記

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先週10日の日本経済新聞社説『中国の戦略的なユーロ支援』でも下記の通り報じられていましたが、「中国政府が財政危機に揺れる欧州諸国の国債への投資に積極姿勢」を見せています。

「李克強副首相は先週、訪問先のスペインで同国国債を買い増すと述べた。買い増しの規模は60億ユーロ(約6500億円)と報じられている。昨年10月の温家宝首相によるギリシャ国債購入の表明、12月のポルトガル国債購入の報道に続く動きだ。」

中国にとってEUは最大の貿易相手であり(2010年の中国とEUの間の貿易額は4797億1000万ドルで前年比31.8%増)、大事な貿易パートナーの一つですから(※1)、EU経済が可笑しくなることを回避したいという考えがあるのは勿論のことです。
また中国は米国一辺倒であることを非常に危険であるというように判断していますので(中国の外貨準備2兆6500億ドルの内訳-2010年9月時点:米ドル65%、ユーロ26%、英ポンド5%、日本円3%)、当然ながら最も割安になってきているユーロを買い増して行くという発想もあると思われます(※2)。
何はともあれ投資対象は国家ですから、当該国がユーロ圏に存在している以上、借金を返済出来なくなるというようなことは基本的にはあり得ませんので、その安全性の高さから中国は積極的に投資をしてきているのだと私は見ています。

更に金利という観点で言えば、日本国債など買ってみたところで何時何時金利が反転上昇し円の大暴落が現実のものとなるやも知れぬリスクを常に孕んでおり、未だ擦った揉んだしている欧州諸国の国債利回りは当面急激に上がってくるという感じではありませんので(「欧州諸国の主な国債利回り」-2010年1月~12月)、中国は当然欧州諸国の国債を買い増して行くということになるわけです。
またカレンシーで見ても、中国は仮に債券価格(金利)で損失を被ったとしても、為替で利益を取ることが出来ると踏んでいる可能性もあるのではないかと私は見ています。
そして再三このブログで述べてきた中国の資源確保という観点で言えば、「スペインとポルトガルは南米やアフリカの旧植民地に、エネルギーや希少金属などの資源を巡り膨大な利権を保有する。中国は南欧支援の見返りに、資源利権の獲得を打診しているとの情報もある」ということで(2011年1月6日日本経済新聞朝刊)、欧州にある面で恩を売るという部分もあると思われます。

このように中国という国は昨今クローズアップされている上記欧州諸国への支援のみならず、中東諸国でもアフリカ諸国でも困難に直面している国に寄って行くのが非常に上手な国であり、日本政府はその動きを今後も注視すると共に見習って行くべき部分もあるのではないかというように私は考えています。

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日米の当面の経済情勢と財政問題
中国の一人当たりGDPから見えるもの

参考
※1:2010年、中国の輸出入総額が約3兆ドルに-過去最高を更新
※2:中国、ユーロ支援強調 周縁国国債買い増し 副首相歴訪




 

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