北尾吉孝日記

『21世紀に対する洞察』

2011年1月19日 14:37
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少し大きな視点からものを言いますと、21世紀というのは20世紀とはまるで異質な世紀になってきていると私は感じており、正に新しい枠組みというものが今後どんどん出現してくるのではないかというように見ています。

例えば『多極化する世界』と題したブログで以前述べた通り、1975年にフランスで初めて開かれたサミットについて言えば、まずはG6(日本、米国、英国、フランス、西ドイツ、イタリア)でスタートし、その後カナダとロシアが参加してG8にまで拡大してきましたが、現在はG20となっています。
即ち、今や世界にとってのあらゆる重要問題は中国、インド、ブラジルといったエマージングカントリーを抜きにして語ることが出来ないような状況であり、最早G8という国際的な枠組みはグローバルな政策決定を行う場として機能不全に陥ってしまっているということです。
そしてその意味するところは、20世紀の米国一極集中体制というものが終焉を迎えつつあるという過渡的状況になってきているということであり、また本ブログで何度も指摘してきた通り、ドル基軸通貨体制も終わりを遂げるようになってくるということなのです。

21世紀というのは、言ってみれば西洋一辺倒の価値観が支配する世界から非常に多様化した価値観が混在する世界に移って行くような世紀になると私は思っています。
その多様化した価値観の中には、中国的なものやインド的なもの、あるいはイスラミックの価値観やブラジルの価値観等々、種々雑多なものがあるでしょう。
そうした多様な価値観というところに21世紀の大きな特色があるというように見ています。
またあらゆる情報が世界中を駆け巡るグローバリズムとも言うべき時代において、その情報を誰が逸早く手に入れ、そしてその情報を誰がどのように分析し行動するのかにより勝敗が決するような世紀でもあると認識しています。
更には、例えば金融政策一つを考えてみても、今や一国だけではなく世界的な協調体制の下で各国がどのような政策を実施すべきかを議論しなければならない時代に変わってきているわけで、そのような意味ではピーター・ドラッカーなども言うようにあらゆることが国境を超えるという「トランスナショナル」というようなことが21世紀の一つの特徴になっていると考えられます。

上述したような特質を帯びる21世紀という時代において、日本はこの世界の中で一体どのように生きて行くべきなのでしょうか。
20世紀における日本という国を評価するならば、日本はある意味最大の成功者であったと言えるのかもしれません。
では21世紀に日本が再び成功者足り得るのかと言えば、まずは今世紀の変化の状況というものがどちらを向いてどのように進行しているのかということを正確に認識していなければならないでしょう。
そしてその認識を持った上で確りと適切な対応をして行くことにより、日本は21世紀も成功者になることが出来るのかもしれません。
一例としてこれまで保護主義的であった貿易について言えば、今や世の趨勢は自由貿易であり色々な連合体を創って行く世界になっているわけで、以前私が基本的な考え方を示した環太平洋戦略的経済連携協定(TPP:Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement)に関して、日本が今後も保護主義的な対応に終始するということであれば、確実に世界から取り残されて行くことになるでしょう。
即ち、20世紀的な保護主義などというものは21世紀においては最早通用しないわけで、誤った時代認識に基づく舵取りではグローバリズムの中で生きて行くのは不可能であるということです。

事程左様に21世紀がどのような世紀になるのかについて、その本質を見極めて行くことが企業経営者にとっても非常に重要なことではないかというように私は思っています。
最近私は21世紀がどのような世紀になるのか、あるいは21世紀というものの取り組み方はどうあるべきかに関して、様々な碩学達の本を読みながら考えを巡らせる毎日を送っています。
例えば明治生まれの森信三という人物は既に21世紀論を語っているわけで、森先生が21世紀というものをどのように見据えていたのかを学ぶことは、21世紀がどのような世紀になるのかを考える上で非常に参考になります。
以前ブログでご紹介した通り、来月に株式会社致知出版社から出版する予定の『森信三から学ぶ人間力』の中でも先生の21世紀というものに関する考察を若干ご披露していますので、ご興味がある方は是非読んで頂ければと思っています。

以上、『21世紀に対する洞察』と題して述べてきたわけですが、この多極化した時代においてこれまで私どものビジネスも多極化してきたことは一つの対応の在り方であったというように私は認識しています。
そしてまた取り分け金融という分野においては多極化し様々な部分でトランスナショナルになって行くわけで、その中でどのようにして収益力強化を図るのかということを今後も常に模索しながら、旧来の日本的なものだけから脱皮して考えて行く必要性があるというように思っています。

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  1. 北尾会長の文章は、日本人にはない鋭い観点があります。
    商売人だと思いました。



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