北尾吉孝日記

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ご存知の通り、「格付け会社のスタンダード&プアーズ(S&P)は27日、日本の長期ソブリン格付けを「AA」から「AA-」に一段階引き下げた」わけですが(※1)、この格下げというのは当然予想されていたことです。
と言いますのも、国と地方を合わせた「長期債務残高」は2011年度末で892兆円となる見通しで(※2)、端的に言うと今後例えば金利が1%上昇するだけで9兆円の金利負担増となり、それがまた国債発行を誘発するという悪循環に陥りかねないような水準に最早あるからです。
しかも家計の金融資産残高1442兆円と比べて見れば(※3)、その差は550兆円となっており、この程度の差などというものは時間の問題であるということですらあり得るのです。
そして民主党政権下において「新規国債発行額が税収を上回る異常な予算が組まれる」という状況がこの2年続いており、「財政再建への展望は全く得られていない」というわけです(2011年1月28日日本経済新聞朝刊)。

尤も今回の格下げに関しては先週金曜日の「ウォール・ストリート・ジャーナル日本版」などにも「日本国債格下げの原因、経済よりも政治に」と題した記事があり、確かにそのような面もあるとは思います。
しかしながら「公的債務残高の国内総生産(GDP)比率は既に先進国中最悪の180%に上るが、大きな制度改革がなければ、この比率は20年には230%に達する」という圧倒的な高水準であるにも拘らず(2011年1月28日日本経済新聞朝刊)、何ら政府として取り組み姿勢がないというところに、その結果として起こる必然的経済的帰結というように言えるのではないかと私は思うのです。
更に今日本の金融機関を中心にその95%が国内で消化されている日本国債について逆から言えば、金利が上がり出せば債券価格が大暴落する危険性があって、その場合取り分け運用対象が無く国債漬けとなっている地方金融機関の業績ががた落ちとなり、日本の金融システムが大混乱に陥るという大変な状況にもなりかねません。
それ故そのようなシステミックリスクが日本において起こる可能性があるということで、今回の格下げに関しては必ずしも政治的理由だけではないというように我々は認識しておかなければならないでしょう。

上述したことと私どもの関係で言えば、住信SBIネット銀行株式会社だけではなく当社グループに関わる全運用主体が国債保有のリスクというものに徹底して取り組まねばならぬことは言うまでもありません。
従って、私は「国債保有は“短期・必要最低限”に徹するように」というように声を大にして喧しく言い続けているというわけです。

参考
※1:日本の長期ソブリン格付けを「AA-」に引き下げ、アウトルック「安定的」=S&P
※2:国の借金残高、来年度末1000兆円目前に
※3:日銀:9月末の家計金融資産は1442兆円、前年比0.3%増




 

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