北尾吉孝日記

この記事をシェアする

多数報じられている通り、仏・ベルギー系金融サービスグループ、「デクシアは10日、ベルギー政府が同行の国内銀行部門を国有化することや、残りの最大900億ユーロの資産についてベルギー、フランス、ルクセンブルクから政府保証を受けることで合意」しました(※1)。
下記引用にもありますが(※2)、要するに欧州金融機関については基本的には「毒まんじゅう」イコールPIIGSの国債を初めとした債券を皆大量に保有していますし、あるいは相互間でPIIGSにある銀行債や株式を抱えているので、そうした金融機関のポートフォリオが毒まんじゅう化するような状況になるのは目に見えているわけですから、問題はデクシアだけに留まらないというように捉えるべきでしょう。

『2010年末時点でデクシアは34.6億ユーロのギリシャ国債を持っていた。イタリア、スペイン、ポルトガルの国債も合わせると重債務国の国債保有額は218.4億ユーロと、同行の普通株での中核的自己資本の170億ユーロを上回っていた(みずほ証券試算)。
(中略)アイルランドも含めた重債務国(PIIGS)の国債を、どの欧州銀も大量に抱えている。普通株中核自己資本に対するPIIGS国債の保有比率は、独コメルツで64.9%、仏BNPパリバでは64.2%と軒並み高水準だ。』

そして、先週金曜日に『ポール・クルーグマン講演会雑感』と題したブログでも下記引用した通り、GDPで言うと今までは「ユーロ圏(17カ国)全体のわずか2.5%」でしかないギリシャの問題だけが大きくクローズアップされてきましたが、最早「ユーロ圏において経済規模3、4位のイタリア、スペイン」へと問題は移っているのです(※3)。

『欧州の危機は最初はギリシャ、アイルランド、ポルトガルといった小国の問題だったが、今ではイタリアやスペインなど大国を脅かしている。危機に直面している国の経済規模は、今やユーロ圏全体の3分の1に及んでいる。仮にこの危機を封じ込めたとしても、デフォルト(債務不履行)を恐れる市場の圧力が問題国の金利上昇を招き、その金利上昇がデフォルトを自己実現してしまう恐れがある。そうなれば銀行の自己資本を大きく傷つけてしまう。こうした欧州の状況が全世界にリスクを及ぼしている』(※4)

従って、上記問題を巡ってはEFSF(欧州金融安定基金)をどれだけ拡充出来るのかというのが一つのポイントになるのは事実であると思いますが、そうした対処では追いつかないのではないかと私は見ています。
今相場は小安状態になっていますが、そもそもの話として今回「バッドバンク」設立といった一応の解決策を示しデクシアを何とか救済出来たとしても、今後次から次へと発現してくるであろう問題化した金融機関を各国政府が果たしてどこまで救済し続けて行くことが出来るのかはクエッションマークです。
今朝の「ウォール・ストリート・ジャーナル日本版」にも「欧州株:大幅続伸、ユーロ圏債務危機解決・銀行資本増強期待で(10月10日)」という記事がありますが、欧州銀行に対しては相当量の資本増強を行う必要性があり、その資本をどこから入れるのかが一つ問題となっています。
それについては、例えば中国や日本、あるいはアラブ・中東の産油国の一部といった所が資金を拠出するということがなければ、とてもじゃないが欧州だけでは資本増強に応え得ないと思われ、問題はそれ程までに深刻化しているというように私は認識しています。
また、上述した毒まんじゅうをポートフォリオに組み込んだ場合の厳しさというのは日本にとっても対岸の火事では勿論なく、日本の個人投資家の間で人気があったソブリンファンド等が如何に毒まんじゅうを抱えているのかによっては個人投資家が大損するという事態に陥り得るということも我々は想定しておく必要があると思っています。

参考
※1:デクシア救済コスト、ベルギーの負担「わずかではない」=フィッチ
※2:欧州、金融危機対応が後手に 2度の資産査定甘く
※3:特集ワイド:今さらですが 欧州債務危機 続く綱渡り
※4:クルーグマン教授、米欧「日本化」に懸念 インタビューやりとり




 

(任意/公開)
(任意/非公開)



Copyright © SBI Holdings, inc. All rights reserved.