北尾吉孝日記

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最近私は韓国の色々な経営者と話しをする機会が多いのですが、今の韓国経済というのはごく一部の大企業でしか成長・繁栄がない上、その一部の大企業でも少し陰りが見え始めているという状況になってきています(下記参照:『選択』2011年12月号「矛盾が噴出し始めた韓国経済 歴史上前例のない貧富の格差」より抜粋)。

『公式には否定しているが、対日競争力を強化するため韓国政府が人為的な為替操作でウォン安を誘導してきたのは、いまや公然の秘密だ。これが輸出産業を後押しし、企業収益の拡大や雇用の増大をもたらすならまだいい。だが、それゆえ一部の大企業に富が偏在し、雇用や実質賃金の上昇に波及するどころか、庶民はウォン安の副作用としての物価上昇に苦しめられるばかり、というのがいまの韓国経済のいびつさだ。筆者の知人は現在の韓国のインフレ状況は、「公式統計では五%だが、実感としては八~九%」だという。』

こうした韓国の現況を見ていて、小生が以前書いた『人物をつくる―真の経営者に求められるもの』(PHP研究所)のパラグラフ『「大きな経済」と「小さな経済」 アジアが成長する背景』で1997年のアジア通貨危機に関して述べたことを思い出しましたので下記引用して御紹介します。

『九八年のGDPを見ると、確かタイが前年比八パーセントくらいのマイナスです。
それから韓国が六パーセントくらいのマイナス、マレーシアも六パーセントくらいのマイナスだったと思います。インドネシアに至っては、一四パーセントくらいのマイナスでした。
いま、日本の実質のGDPが「マイナス一パーセントになる」「マイナス一・五パーセントになる」と、色々な意見が言われていますが、当時の東アジア諸国の状況は、その程度ではなかったわけです。
ところが、最近、韓国を訪れたときに韓国の財界人や財経部(日本の財務省にあたる)の人などに話を聞くと、もう様変わりの状況になっているのです。韓国の経済は非常に良いのです。
土地の値段が上昇して、不動産市況は大変な活況です。株もコスダックという新興市場はまだですが、いわゆるメインの韓国証券取引所は活況を呈しています。』

考えて見ますと、上記引用の「最近」とは2002年2月頃のことであり経済危機に見舞われてから非常に短期間でリカバリーしているわけで、韓国というのは上下変動が起こり易い経済構造であるということなのです(下記参照:『人物をつくる―真の経営者に求められるもの』より抜粋)。

『経済危機の当時は、IMFから大変な資金援助を受けており、「いったい韓国経済はどうなってしまうのか」という状況だったにもかかわらず、急回復しているのです。
一方、日本はどうかと言えば、九〇年からずっと今日のような状況で、むしろこれから本格的な経済危機を迎えるのではないかという状況です。
経済危機から数年しか経っていないにもかかわらず、なぜ、韓国経済はこれほど早く回復したのか。これは、韓国のみならず、先ほど申し上げた東アジアの諸国もそうです。
私が出した結論は、要するに経済規模が小さいということです。韓国の経済規模は、日本全体の十分の一程度です。そして、小さいものは回復するのが早い、回復させるのも比較的容易だということなのです。
逆に、大きいところは大変です。ですから、日本のような世界第二位の経済大国は、なかなか回復できません。
しかも大きな経済は非常に複雑です。シンプルでスモールというのは、このような場合には良いのだと思います。そして、シンプルでスモールということは、ある意味では、非常に事業を起しやすいということだと思います。
従って、韓国では相当な事業を展開できるのではないか、そして、いまはそのチャンスではないかと思っています。韓国には、これから積極的に進出していきたいと考えていますし、着々とその布石を打っています。』

今年7月『日本教育再考』と題したブログでも述べたように、私は李明博という大統領が誕生した時、そしてその後の様々な施策を見た時に「民間企業出身で、しかも叩上げの男というのは流石に違うものだなぁ」とある意味評価をしていました。
唯、本質的には李明博の政策自体がどうこうということではなく、要するに如何ともし難い経済規模の小ささが上下変動の激しさを齎すことになるわけですから、「矛盾が噴出し始めた韓国経済」は今後ガタガタになり歴史は繰り返すのだろうというふうに私は見ています。
なぜなら、欧米経済問題の深刻化、そしてまたそうした事態を受けて中国をはじめとした新興諸国の経済状況も悪化して行っているわけですから、輸出振興策だけを推進してきた韓国のような国は直ぐに駄目になってしまうのです。
従って、そのようにガタガタになった所を狙うという意味で当社にとっては寧ろ投資の場面がくるということなのだと捉えており、今後も投資機会を探りながら韓国経済の行方をウォッチして行きたいと思っています。
昔まだ小生がソフトバンクに在籍していた頃、アジア経済危機(1997-1998年頃)の時に韓国の銀行に出資して大儲けした記憶があります。




 

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