北尾吉孝日記

『ユーロ圏の将来4』

2012年1月11日 10:03
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一昨日の「ウォール・ストリート・ジャーナル日本版」にも「円、対ユーロで一時11年ぶり高値」という記事がありますが、ユーロは年明け早々から円に対してドルに対しても大変な暴落をしています。
対ドルで1年4カ月ぶりの安値を付けたユーロについては1ユーロ=1.2ドルまで売られるのではないかといった話も出てきており一体どこまでユーロ安が進行するかという状況ですが、また他方ではイタリアの銀行最大手ウニクレディトの株価が「株主割当増資の新株発行条件が大幅なディスカウントになると発表した前週4日以降、45.2%下落している」という状況でユーロを取り巻く環境は年初から非常に激しく動いてきています(※1)。
本ブログでも幾度も指摘してきた通り「欧州ソブリン危機」を解決するには夫々の国、取り分けドイツの妥協が不可避であるのは言うまでもありませんが、一昨日行われた独仏首脳会談後の共同会見でもメルケル首相は「ギリシャの第2次財政改革プログラムは早急に実施される必要がある。そうしない限り次の分の国際支援資金の供出は不可能だ」と語っていたようにギリシャに対して非常に厳しい態度で臨もうとしています(※2)。
そうなりますと最終的にはギリシャから始まって幾つかの問題国がユーロから離脱をすることになるか、あるいはユーロというコンセプト自体が崩壊することになるのであろう思いますが、今打つ手としては以前述べたように次の三点を可能であれば同時に実施する以外、他に道はないというふうに私は考えています(下記参照:2011年11月29日北尾吉孝日記『ユーロ崩壊は時間の問題か』)。

【まず第一に挙げられるのは、今月11日のブログ『「イタリア危機」について』でも指摘したように1兆ユーロ程度の規模でしかないEFSF(欧州金融安定基金)を少なくとも2~3倍程度に早急に拡充するということです(参考:2011年11月28日ロイター「EFSF運用ルール固まる、29日のユーロ圏会合で承認へ」)。
二つ目として、(中略)ある意味での財政統一化を図るユーロ圏共同債の発行を実現し金融・財政・通貨の全てをユーロ圏で一本化して行くということです(参考:2011年11月16日北尾吉孝日記『ユーロ圏の将来3』)。
(中略)最後に三つ目として、(中略)IMFがユーロ圏を応援し支えようとして全面的に協力して行くというのが明示され、その背景として米国は勿論の事、日本や中国等からも危機抑止の原資が積極的に拠出されるということです。】

唯、結局のところIMFに対してG20、取り分け日米中から多額の出資が行われるのは難しい状況であると思われますから、まずは上述した点も含めユーロ圏諸国において出来得る限りのことを実施して行かねばならず一刻も早く手を打たなければユーロ崩壊は避け得ないでしょう。
前回のブログ『年頭所感』にもある通り、私は年初の年賀式で我グループ全役職員に対し肝に銘じて頂きたいことの一つとして「世界経済は当面混沌としており、その中で大きな業界の再編成なども起こりやすくなります。とりわけ、金融業界は世界中で業界勢力が一変する可能性があります。我々のチャンスはそこにあるのです。」と述べたわけですが、上記ウニクレディトのみならず財務危機が金融危機と一体化して行く中で欧州の金融大手をはじめとして世界中を覆い尽くすような大問題にもなり得るであろうと見ています。
そしてそれは取りも直さず欧州において公的資金を何らかの形で注入せざるを得ないということであり、仮に注入されるとなれば今度は世界的な金融規制の強化に繋がって行く可能性があると思っています。
従って、これから欧州発の更なる金融規制の強化が世界規模でなされ日本の金融機関にも非常に大きな影響を与えてくることになるであろうと思いますが、中でも銀行に対して大変な影響を及ぼすようなことになって行くのではないかというふうに私は考えています。

参考
※1:欧州株式市場=銀行株主導で下落、米企業決算の開始控え警戒感
※2:独仏首脳、ギリシャに財政改革と債務減免交渉の進展を要求




 

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