北尾吉孝日記

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先月上梓した拙著『日本経済に追い風が吹いている』(株式会社産経新聞出版)でも下記の通り指摘しましたが、私がずっと主張し続けてきた所謂「5%ルール(PTS取引における公開買付規制)」の適用除外が漸く本年10月から施行されることになりました。

【「5%ルール」とは、投資家が証券取引所外で株主11人以上との取引を通じ、株式5%超を取得する場合、日本ではTOB(株式公開買い付け)の実施が義務付けられていることを指しています。
しかし、東証など取引所から買い付けられた株式に関してはTOBの義務がなく、取引所外での売買のほうが不利になっています。
取引所にとってあまりに有利なこのルールは撤廃すべきですし、そもそもPTSを“取引所外”として定義すること自体がまったくナンセンスです。】

昨日の「ウォール・ストリート・ジャーナル日本版」にも「公取委、取引所統合を承認=東証、来週にも大証にTOB」という記事があり当該統合計画が簡単に認められた印象すら受けるわけですが、残された「10%ルール(PTSの運営において、取引量が対国内全取引所比の全売買代金の10%を越えてはいけないという制限)」という過去の遺物とも言い得る制度についても独禁法に鑑み、撤廃すべきではないかと私は考えています(※1)。
上場審査を筆頭に様々な審査上のコストが掛かる中、一方はそれを負担し片一方は負担しないというのは可笑しいのではないかという意見もあり、私もそれについて理解は出来ますが何故10%なのかという問題は未だ残ったままです(※2)。
この10%という数字は精緻なコストを割って算出されたものでもないでしょうから「何故10%なのか」「20%ではいけないのか」といったことは問われるべきですし、更には「ある意味独禁法上の違反とも思われるような合併が行われた場合、何故その10%は維持されなければならないのか」といったことについても再度検証し妥当性を見出し得るか否かを先ずは明らかにすべきではないかと思っています(※2)。
また「5%ルール」の撤廃の次の課題として取り組むべきは「信用取引規制」の問題であります。世界の非常識である理解不能な規制は一刻も早く撤廃しPTSでも認めるべきです(※3)。
上述の「10%ルール」や「信用取引規制」のみならず、日本では夥しい数の馬鹿げた規制が未だに敷かれているわけですが、規制当局に変革の必要性を訴え続け改善させるという努力をして行かない限りは絶対に変わることはあり得ませんから、私は今後も提唱し続け兎に角変革を促して行きたいというふうに思っています(※4)。
規制特権を排除し自由競争を全てに行き渡らせることこそが投資家やサービス受益者に最大貢献し得る唯一の方法であると私は強く信じており、例えば本ブログでも時々批評を加えてきた東京電力株式会社(以下、東電)を巡る一連の問題に対しても当て嵌まることだと考えています。
即ち、結局中途半端な形で実質国有化するというのであれば、何故始めから所謂私企業としての東電に対して、その責任を明確化し単純に法的処理を行って一時国有化しなかったのでしょうか(※5/※6/※7)。
その上で債権者及び株主に対して投資家責任というものをきちっと問い、そしてまた東電元社員の年金受給者に対しても厳しく負担を負わせるべきであったにも拘わらず、実際は資本主義の原則から逸脱する形で破綻処理が進められ非常に由々しき事態が生じてしまったというわけです(※5/※6)。東電病院の件が株主総会で売却すべしという意見が出たようですが当たり前のことだと思います。
こうしたことを続ける中で段々と資本主義が資本主義でなくなって行くということに私は大変な危惧の念を抱いており、これからも資本主義と自由競争を守るために私は全力で戦い続けたいというふうに思っています。
最後に2013年12月末で終了となる証券税制の10%軽減税率延長について一言述べておきます。
先月29日の日本経済新聞朝刊の意見広告を御覧になった方もおられるかと思いますが、現在「証券税制の10%軽減税率延長を求めるオンライン署名」を個人投資家の皆様に呼びかけております。
「証券市場を守ろう!」「投資家のために動こう!」という意図で漸くインターネットネット証券4社(株式会社SBI証券、カブドットコム証券株式会社、マネックス証券株式会社、楽天証券株式会社)が立ち上がったのは良いとは思うのですが、その一方で本来こうした役割を率先して担うべきは最大証券会社たる野村證券株式会社(以下、野村證券)ではなかったのかという思いがしています。
嘗ての銀証の争いにおいても野村證券こそが立ち上がり証券業界を守ろうと尽力していたわけですが、今の野村證券というのは『インサイダー関与「言語道断」…同友会代表幹事』等々で昨今多数報道されている通り、とんでもない事件を引き起こすばかりでそうした役割を担おうという意思すら感じられず大変残念に思っています。
こうした信じ難い事件を起こし続けていれば、時間の問題で「日本一の証券会社」というのは過去のものになるでしょうし、近年の野村證券を見ていて感じるのは自らNo.1の地位を捨て去ろうとしているのではないかということです。

参考
※1:2012年1月24日北尾吉孝日記『「東証・大証統合」について2
※2:2011年7月22日北尾吉孝日記『グローバルな取引所再編成の時代
※3:2012年3月16日NSJ日本証券新聞「取引所統合機に緩和議論を 急成長PTSに規制の壁
※4:2011年7月14日北尾吉孝日記『「PTS元年」の現況と展望
※5:2011年5月18日北尾吉孝日記『パブリックカンパニーとは何か
※6:2011年12月30日北尾吉孝日記『今再び問われる東電処理の在るべき姿
※7:2012年3月1日北尾吉孝日記『「民間事故調報告書」を受けて




 

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