北尾吉孝日記

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日経ヴェリタス224号に「遠くない将来、BRICsは死語になる」として「BRICs諸国のうちブラジルとロシアに代わって、2010年代は東南アジア諸国連合(ASEAN)が躍進し、中国、インドと合わせたアジア新興国が世界の成長をリードするであろう」という記事があります(※1)。
その根拠として、a.「ASEANの方が成長率が高い」、b.「ASEANの方が人口がはるかに多い」、c.「アジアの高付加価値産業の成長」という3点を挙げていますが、私に言わせれば今後もASEANは躍進し続けるでしょうが、指摘されるようにBRICsが死語になるということはなくブラジルもロシアも恐らく伸びて行くと見ています(※1)。
地理的な観点から言えば、アジアの中にあるというのがASEANの一番の強みであり、やはり「アジアの時代」における経済の一つ大きな潮流に乗るという意味では、確かにブラジルやロシアよりもASEANの方が有利とも言い得るかもしれません(※2)。
しかし、だからと言ってBRICsが死語になるというものではなく、ブラジルやロシアといった国々も既にそうした高度成長のステージに入っていることは間違いないわけですから、要は成長スピードについてASEANとブラジル・ロシアのどちらが速いのかという問題ではないかと思うのです。
そして当該問題を考える場合はやはり資源というものがどうなって行くのかが一つ重要になってくるわけで、アジアの国々の成長過程において生じてくる膨大な資源需要によりブラジルやロシアといった資源大国も当然ながら伸びて行くという観点も考慮すべきでありましょう(※3)。
次に日露を巡る状況について一言述べておきますと、今ロシアは自らの持てる天然ガスを日本に直接供給して行こうとしていますし、日本も「3.11」を経てそれを望んでいるというような形になってきており、ここへ来て日露の間もひょっとしたら雪解け水が流れるのではないかというふうに思い出した矢先の今月3日にメドベージェフ首相と複数の閣僚が北方領土の国後島を訪問しました(※4/※5/※6)。
幸か不幸か日露の間にはこの領土問題がずっとあって、これがある意味「両国間のトゲ」であると共に両国間を繋げる手段にもなり得るものとなっています(※7)。
即ち、北方領土での実質的な共同経済開発をして行こうということにもなるかもしれず、ロシアも様々な形で領土問題を使いつつ日本に対して時に多少の譲歩姿勢を示しながら、日本との関係を深めることで自国の産業発展に繋げて行きたいというように考えているのではないかと思います。
ロシアにしてみれば、嘗てより繋がりが深い東欧諸国との関係を幾ら強化したところで殆どメリットもありませんから、技術的・資金的意味合いも含め日本の方が遥かにメリットがあるというふうに踏んでいるのではないかと思っています。

参考
※1:2012年6月24日日経ヴェリタス「BRICsは死語になる」
※2:2012年4月19日北尾吉孝日記『起業を志す方へ~人間学の重要性~
※3:2012年7月1日日経ヴェリタス「中国のエネルギー需要を注視」
※4:2012年6月24日MSN産経ニュース「LNGプラント建設で覚書 経産相とロシア担当相
※5:2012年6月30日読売新聞「露ガスプロム、日本へのパイプライン構想断念
※6:2012年7月3日中国新聞「ロシア首相が国後島訪問 複数閣僚が同行
※7:2012年7月5日読売新聞『露首相国後訪問 交渉の「再活性化」に逆行する




 

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