北尾吉孝日記

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昨今世間を賑わせているニュースの一つに所謂「LIBOR不正操作問題」がありますが、「世界的な影響力を持つ指標金利、ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)に恣意的な操作が行われていた疑惑」を聞いた時、私は信じ難いと思うと共に大変深刻な問題であるという認識を持ちました(※1)。
一昨日の日本経済新聞でも「直接的な問題点は2つある」として下記のように指摘されていますが、今「金融当局を巻き込んだ一大スキャンダルにも発展しかねない情勢」となっています(※2/※3)。

『ひとつは各銀行が提示するレートが操作されていた虚偽提示だ。建前上、そのレートで相当量の取引があると推定される金利を提示することになっているが、それが守られていない事例があった。レート提示を銀行の規律に任せていいのかどうか。
もうひとつはカルテル体質だ。今回の不正操作に複数の銀行関係者がかかわったとされるほか、本人は否定しているがイングランド銀行の副総裁の関与疑惑も浮上している。トリミングはあるが、複数で操作を試みればすり抜けは可能だ。』

その一方で「ベンチマークとされるものが実際の取引で絶大な影響力があるというわけではない」と言い、本件に対して「大きな問題ではないとの意見」を述べる元債券トレーダーもいるようです(※3)。
確かに彼の言うように実務面で大きな問題にはならないとは思いますが、銀行間の取引金利が不正操作され取引自体の需給を反映したプライシングが正しい形できちっと為されていないとなれば、「一体何を信頼して良いのか」という非常に根源的なところで大きな問題となるわけです。
勿論、色々な思惑で動くわけでそうしたものが入っても良いとは思いますが、「実際とは違う金利を銀行協会に報告し、自行の取引に都合が良いよう金利操作」を行って「国際金融取引の基準となる金利をゆがめる行為が横行」していたのは許し難いことです(※4)。
これから実態解明が徹底的に進められ全ての事実が明らかなることを切に願うばかりですが、他方で今回のような問題が起こった後に常になされる規制強化の議論についても注視して行かねばなりません。
[FT]金利不正操作でEUが対策に乗り出す』という記事にも「指標の一部または全部を規制するかどうか」や「指標が金融機関の提出する推定値ではなくどこまで実際の取引をベースにすべきか」といった指摘がありますが、如何に規制して行くのかは難解を極めることでしょう。
翻って日本の金融界を見るに所謂「増資インサイダー」が大問題となっていますが、「増資インサイダーの疑わしい案件を多く抱える野村証券は社内調査報告書を先月末に公表、弁護士による調査は打ち切った」ものの、未だに正式なお咎めは出されておらず「証券取引等監視委員会は野村証券への特別検査を継続」しています(※5)。
そして野村證券を主幹事から外すという動きが出てくる中で、今度は大和証券もインサイダー案件を抱えていることが明らかとなりました。
「野村、大和、SMBC日興という3大証券の関与が明らかになった」今、「LIBOR不正操作問題」と同じように「一体何を信頼して良いのか」という非常に根源的なところで我々は大きな問題を抱えているということです(※6)。

参考
※1:ウォール・ストリート・ジャーナル日本版「トピックス:LIBOR不正操作―広がる疑惑
※2:2012年7月11日日本経済新聞「LIBOR不正で信用失墜 国際金融、規制に拍車
※3:2012年7月8日日経ヴェリタス『英金利不正操作で「反金融」の機運、量的緩和にも厳しい目(Blogosphere)』
※4:2012年7月7日日本経済新聞『「窮鼠」が暴くLIBORの闇(大機小機)
※5:2012年7月9日日本経済新聞「もうひとつの増資インサイダー
※6:2012年7月11日毎日jp「社説:インサイダー取引 今度こそ市場の浄化を




 

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