北尾吉孝日記

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野村證券を始め、その他の証券会社が企業の増資情報を買い手サイド(取り分けヘッジファンド)に伝え、そしてその情報で空売りをし大儲けをしていた構図が、漸く証券取引等監視委員会の調査対象となり、多くのことが暴かれたのはつい最近のことです。
日本で創設される遥かに前に米国で創られたSECは、非常に大きな権限を持って膨大な数のスタッフを揃えているわけですが、嘗て私は米国に住んでいた頃にSECがどのようなことに取り組むのか、如何にして市場や投資家を守るのかといった目で非常に興味深く彼らの活動を見てきました。
第一に、今回日本で見られたようなファイナンスに絡んだインサイダー問題というのは、米国でもそういったことがあったというように記憶しています。
次に、ある企業と何らかの関係を構築してインサイダー情報を入手し、そして自ら売買をしたり、あるいは自分の知っている者に売買をさせて利益を得るという単純なケースも多くありました。
さらにもう一つ、私が印象に残っているのが、例えば新聞社、あるいは経済・企業の事柄を扱っている雑誌社や出版社といったところにガセネタを持ち込み、それが採用された場合そのガセネタを持ち込んだ人達が裏で組織立って空売りをして儲けるというケースです。
当該ケースの一つは、「情報発信者」例えば雑誌社に十分な調査能力がなく、基本的には情報を外部から金で買うことで記事情報を得ているものです。大体4、5人で情報発信活動を行っているようなところは殆どと言って良い程、自主調査を行わずに情報を金で買っています。
最後に挙げ得るケースとして、空売り屋自らが情報の発信機関を手中に収め、そしてその情報を上手く使い空売りをして儲ける、といった犯罪的な行為に対しSECが厳として臨んでいたのを記憶しています。
勿論、良い情報を先に得て逸早く買って儲けるといったケースもありますが、上述した様々なケースにおいては、そのどれもが空売りということに繋がっているわけです。
情報というものがきちっとした調査に基づくものであればまだしも、外部から金で買った情報を主として使うようなところは往々にしてその記事の信憑性は極めて薄いと思われます。
そしてそれが時として空売り屋に利用されたり、あるいは空売り屋自らが情報を上手く操作して利益を得ようというケースが多くあるわけです。
こうしたことを私は米国に居た時に見てきたわけですが、日本においてもファイナンスを巡るインサイダー問題が一応の結末を迎えた今、次は上記の内のそれ以外の問題についても証券取引等監視委員会が取り組むべきであろうと私は思います。




 

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