北尾吉孝日記

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国際社会において意見統一を図るということで言えば、二カ国の場合は相当な議論を重ねる必要があり、そして三カ国の場合は評議の上で多数決が行われねばなりません。
そして対象国が段々と増え状況がより複雑になっても多数決により表決を行うわけですが、一つの問題に対し千差万別の利害によって各国が選択をして行くという中では、非常に問題が複雑化しコンセンサスを得るのが難しくなって行きます。
即ち、AかBを選択するという場合においても、Bを選ぶ国々の間でもBを選ぶ理由には大きな隔たりがあるといったように、各国の意見は様々に分かれ統一化して行くのは益々困難を極めるというわけです。
より具体的に考えて見ますと、例えば国連安全保障理事会において常任理事国が拒否権を有するという中では、一カ国が拒否権を発動すれば他の理事国14ヶ国全てが賛成しても議案は成立しません(※1)。
あるいは、気候変動枠組条約締約国会議(COP:Conference of the Parties)の状況推移を見ても、97年のCOP3で漸く採択された京都議定書では結局「世界の温暖化ガス排出量の1~3位を占める中国、米国、インドが義務を負って」いませんし、07年のCOP13より始動したポスト京都の新枠組み交渉も未だ以て難航しており、如何ともし難い状況が続いているといった具合です(※2/※3/※4/※5)。
今月9日の日本経済新聞記事「大機小機」では、現在の世界監視体制の3本柱として「(1)G20の多角的政策監視機能であるMutual Assessment Process(MAP)(2)IMFによる加盟国との年次協議(3)IMF以外の国際機関による専門分野の監視」を挙げ、夫々の有用性について疑義を呈し改善の必要性を指摘しています。
そして「世界経済が内包する問題を未然に防ぐためIMF理事会を中心とする多角的監視体制を再構築することが急務だ」と述べているわけですが、私に言わせれば「IMFによる世界監視体制強化」は実現し得るのかもしれませんが、問題は監視結果に対する処し方にあるというふうに思います。
勿論、監視機能は必要ですから上記提言が実現されないよりは実現された方が良いでしょうし、強制力は発揮しないかもしれませんが何らかの道義的な拘束力にはなり得るかもしれません。
唯、分析・助言に留まらず実行圧力を伴う監視機能でなければ殆ど意味をなさないというのは、こうした類の話には常に付き纏う問題であって、やはり何らかの拘束力を持たせる形でのグローバルな統治システムというのは、何れにしても構築して行かねばなりません。
現在「竹島問題」を巡り取り沙汰されている国際司法裁判所(ICJ:International Court of Justice)を例に見ても、国家間の紛争を解決する手段として設立されたのであれば、相手方が提訴に応ずるかの如何を問わず、強制的に裁判をして行くというのが在るべき姿ではないかと思うのです(※6)。
通常の裁判であれば相手方には提訴に応ずる義務があり、応じなければ自動的に敗訴というふうになるわけで、裁判の実現において紛争の両当事者の合意が必要となる国際司法裁判所についても、その仕組みを抜本的に改める必要があるというように私は考えています(※7/※8)。

参考
※1:国連広報センター「国連憲章(日本語)
※2:2011年11月29日NHK解説委員室ブログ 時論公論「COP17―京都議定書はどうなる?
※3:2011年12月13日日本経済新聞「新枠組みで米中の高い目標取りつけよ(社説)」
※4:2011年12月18日日本経済新聞『「作文」が生んだCOP17合意――新枠組み、米中も参加、具体化は難航必至(検証)』
※5:2012年5月27日日本経済新聞「国連気候変動会合が閉幕、議論、実質進展なし――新興国、先進国と隔たり」
※6:2012年8月21日ロイター「竹島問題で国際司法裁判所に共同提訴を提案、対抗措置も検討へ
※7:2012年8月17日毎日jp「竹島:国際司法裁判所への提訴 手続き開始へ…日本政府
※8:外務省 竹島問題 竹島問題の概要「9.国際司法裁判所への提訴の提案




 

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