北尾吉孝日記

この記事をシェアする

小沢一郎氏や石原慎太郎氏は「官僚の世界を打っ潰す!」とずっと言い続けていますが、率直に申し上げるならば、私は日本の官僚は極めて優秀であると思っています。
唯、優秀ではあるものの過去非常に問題であったのは、余りにも優秀過ぎる官僚が自分達の権益を出来るだけ拡大して行こう、という力を非常に強く働かせてきたことではないかと捉えています。
此の官僚世界の権益拡大に向けた力が何故働いてきたのかを以下で考えてみましょう。官僚組織はキープヤング政策がある意味常に保たれていた大変良い組織体であり、そのことは同期入省者の内一人が次官となると同期のいわゆるキャリア達はそれまでには殆どが役所を去る、というところに見出せるのではないでしょうか。
このように、組織体としてキープヤングとして行くには、片一方で辞めた人達を吸収する所謂「天下り先」が必要となり、そしてまた優秀なる人をきちんと公務員給与では十分に処遇し得なかったが故、今度は次々と退職金を得て行くような所謂「わたり」と称するシステムが作られた、ということではないかと思います。
そしてそれを裏付けるべく、例えば「農地法」(法令番号:昭和二十七年七月十五日法律第二百二十九号)や「漁業法」(法令番号:昭和二十四年十二月十五日法律第二百六十七号)といった戦後直ぐに作られたような法律が時代錯誤で生産性の上昇の為の障害となっても後生大事に守られて、そうした法律の下で様々な「天下り・わたり」先が作られ、我々の血税をずっと無駄遣いし続けてきたということです(※1)。
従って、官僚組織というのはある意味優秀な人材の確保とキープヤング政策を保たねばならず、そしてまた優秀な人にはきちんとした処遇をせねばならないわけですが、之が普通の公務員と差別なく法制化されているがために官僚達が自らの手で自分達の正当な(?)処遇を達成するシステムを作り上げ、そういうことの結果として今様々な問題が色々なところで現出してきているというふうに私は推論しています。
そして今日的問題というのは此の官と政・財、更にはマスコミまでもが戦後60年以上に亘る自民党長期政権下で癒着してきたことであり、一番端的な例としては今年7月のブログ『「国会事故調」報告書の諸問題』でも指摘した原子力を巡る問題が挙げられます。
即ち、東京電力株式会社を中心とした電力会社の組織体、そしてそれに関わる経済産業省の役人を筆頭とした官僚達、あるいはその御用学者といった人達が一緒になる中で、何時の間にか国民の安全や電力のコストといった何よりも大事なものが忘れ去られ、あの3.11以後の日本で大問題として認識されるようになったというわけです。
また、もう一つ直近の例として所謂「笹子トンネル崩落事故」を挙げて述べますと、此の「中央自動車道は、2005年に民営化された中日本高速道路株式会社が管理している」ものですが、「実際には、国土交通省などからの天下りが多い」組織体であります(※2)。
そうして如何に工事費を安く済ませるか、如何に点検を怠り経費節減を実現するか、というような発想の下、以前から問題が指摘されていた接着剤で持たせようとしてきたり、あるいは「トンネル内の天井板の打音検査の未実施」といった明らかに可笑しなことが通用してきたというわけです(※2/※3)。
上述したような信じ難い凄惨な事件が起こっている現実から言えるのは、日本が抱える此の根深い問題点はこうした大変な事態へと進展して行く可能性がある、ということを我々は今こそ厳粛に受け止めるべきでしょう。

参考
※1:2011年7月26日北尾吉孝日記『歴史的転換期における日本と世界
※2:2012年12月11日ダイヤモンド『笹子トンネル崩落事故の原因はただの偶然にあらず「朽ちるインフラ」の背後に浮かぶ道路公団の残影
※3:2012年12月11日毎日jp「トンネル崩落:中日本高速、米事故後も対応取らず




 

(任意/公開)
(任意/非公開)



Copyright © SBI Holdings, inc. All rights reserved.