北尾吉孝日記

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大方の予想通り、今回の衆院選は民主党の大惨敗・自民党の大躍進という結果に終わったわけですが、之は自民党の実力というよりも余りにも御粗末な民主党が自滅したと見るべきであって、安倍内閣がまた期待薄であれば今回と同じように次期参院選や次の総選挙においても大きな変化が齎されることになるでしょう。
09年夏に民主党が大勝利を収め政権交代を実現したものが、今度は逆に大惨敗を喫するというような形になったわけですが、現行の選挙制度の下ではそうしたことが往々にして起こり得るのであって、此の選挙制度の是非についても今後相当詰めねばならないことであるというふうに私は認識しています。
例えば毎日新聞の記事「衆院選:自民、比例57 前回並み」においても、今回の自民党の比例得票数が大敗した09年に比して如何に減少したのか等々述べられていますが、実際問題として票数的には大幅減であるにも拘らず、自民党が大勝利を収めてしまうような「小選挙区比例代表並立制」という制度自体は、本当に民意を汲み取り得ているのかと疑問に思う部分があります(参考―自民党・比例代表…得票数:09年-1881万票、12年-1662万票/得票率:09年-26.7%、12年-27.6%/議席配分:09年-55議席、12年-57議席)。
また、今回「閣僚8人、経験者10人が落選」となったのは当然の結果であると受け止めていますが、他方で菅直人氏のような人間が何時の間にか比例で復活してしまったことに対しては、個人的には民意を受けた形で国会を去るべきであったと捉えており、少なくとも民意の反映という観点からは、小選挙区での敗者が比例代表で復活するような今のシステムはマイナスであると考えています。重複立候補は一日も早く出来ないようにすべきでしょう。
そして所謂「第三極」についても述べるならば、橋下氏が代表を務めていた「日本維新の会」に「太陽の党」の石原氏が合流し代表を務めるというように、結局訳の分からない烏合離散になってしまったという印象を持っています。
「日本未来の党」においても嘉田代表が馬鹿の一つ覚えのように「卒原発」しか訴えなかったわけですが、日本の将来にとって重要な政策課題はエネルギー政策以外にも山程あるということを、此の人は全く認識出来ていなかったのではないかと思われます。
私見を述べるならば、なぜ小沢氏自らが前面に立ち代表として選挙戦に臨まなかったというふうに感じており、イメージ的な問題等々を色々考慮した小沢氏らしくない結果が議席数の大幅ダウンということに繋がったのではないかと考えています。
さて、来週水曜日に「召集される特別国会で(中略)自民党の安倍総裁が内閣総理大臣に選出され(中略)午後に組閣が行われ」る見通しとなっていますが、今一つ聞こえてきているのは「麻生氏、副総理・財務相に」ということで、嘗ての自民党政権である面で罰点が付けられた首相経験者が再び閣僚に就くことに、私自身少し違和感を覚えています(※1)。
また安倍氏が「円高・デフレ克服に取り組むための閣僚を置き、経済再生担当相とする意向を固めた」とも報じられていますが、それ程大事な経済政策に関わる片一方の財務大臣が本当に麻生氏で良いのか、総理としても中途半端の状況であった人だけに如何なものか、というふうなイメージがずっと付き纏ってしまいます(※2)。
更にもう一つ、「名前は一緒だが、新自民党と旧自民党は全く違っているなぁ~」というイメージを創り上げて行くことが今の自民党にとって大変重要なことであろうと思われ、やはり新自民党においてはその昔出てきた顔がまたというのではなく、それなりに成る程と思えるような人事をして貰わねばなりませんから、そういう観点からも麻生氏の閣僚起用について本当に良いのかと思わざるを得ないわけです。
次期政権で官房長官に就くと見られる自民党の菅義偉幹事長代行は、昨日も人事に関して「派閥推薦は100%ない」と述べていたようですが、旧自民党時代のように派閥力学で人事が為されるとか、あるいは9月に行われた総裁選で石破氏を破るのに安倍氏にどれだけ貢献したかといった論功行賞的な人事を行うのは、今回絶対に止めて貰いたいというふうに思います(※3)。
例えば斬新さを出すという意味においては小泉進次郎氏を大抜擢するのも良いでしょうし、あるいは上記総裁選の立候補者の一人、参議院議員の林芳正氏なども非常にまともな話が出来る中々の人物でありますから、そうした人を是非とも大臣として起用して貰いたいと思う次第です(※4)。
野田政権末期に行われた主要人事、象徴的には田中夫妻の大臣登用一つをとって見ても、誰が考えても全く以てナンセンス極まりなく、そして誰もが考えるような結果となったわけですが、そういう意味で安倍氏に期待したいのは、直ぐに墓穴を掘って辞任に追い込まれるような大臣が再び出てこないよう、慎重を期して人事を行って貰いたいということです。
兎にも角にも、今回の選挙を経て自公合わせて3分の2以上の議席を衆議院で確保出来たわけですから、参議院はそれ程気にすることなく思い切った形で安倍氏自身が提唱するような大胆な経済政策の転換というものを一つ実現して貰いたいというふうに思います。
そしてそれと共に外交についても中韓との領土問題、取り分け中国との問題は事態が深刻化すればする程、そうした金融財政政策の効果が吹き飛んでしまうというぐらいの認識を持って、早期解決を目指し全力を挙げて上手に裁いて行って貰いたいと願っています。

参考
※1:2012年12月20日tv asahi「総理大臣選出の特別国会は26日から3日間で合意
※2:2012年12月18日時事ドットコム「官房長官に菅氏=経済再生相を創設-安倍内閣
※3:2012年12月19日読売新聞『自民・菅氏、人事に「派閥推薦100%ない」
※4:2012年10月19日北尾吉孝日記『議会制度改革私案~参議院は必要なのか~




 

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