北尾吉孝日記

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先日の首脳会談後に発表された「日米の共同声明」にもある通り、今回TPP加盟に向けて日本が漸く前を向き動き出したということで、基本的には歓迎すべきこととして私は受け止めています。
TPP問題について言うと、11年4月に刊行された拙著『日本人の底力 世界は「わが民族の叡智」を求めている』(PHP研究所)では「TPP加盟は日本のマスト」「政府は交渉上手になれ」「TPP加盟なくしては日本の製造業は滅ぶ」等と題して論じ、また本ブログでも2年3ヶ月程前から早期の交渉参加を訴え続けてきましたから、今回の成果は当たり前と言えば当たり前ですが、一応の前進が見られたことは大いに結構なことだと思います。
これから後、農業の問題をどうして行くかということもあるのかもしれませんが、そもそも一部の官僚・政治家達が声高らかに言う39%とされる食料自給率というのは、世界で類例を見ない全くナンセンスなカロリーベースの数字であって(※1)、その作られた数字を前提に日本の食料自給率がどうこうと心配してみても余り意味のないことだと思います(参考:平成23年度食料自給率・・・生産額ベース66%)。
そしてまた、日本の将来にとって重要な政策課題ということではエネルギー政策もその一つでありますが、例えば日本が食料とエネルギーの自給を迫られる場合を考えますと、食料はある意味日本でも何とかし得る問題と言える一方、エネルギーに関してはそうは行かないという状況もあるわけです。
総じてTPPというのは、農村地域の既得権益代表者である農水族議員等が一部で大騒ぎしているだけのことであって、少なくとも農業分野等との利害関係のない良識人の過半は皆加盟すべきと考えており、彼らはTPPに加盟せねば日本は世界の中で取り残され、国益を著しく損なうことになると憂慮しています。
国益というのは短期的に見るのか中長期的に見るのかで常に変わってくるものであり、中長期的に見てTPPのような世界的枠組みに参加しないということ自体が国益を損なうことになるのです(※2)。
もう今は「日本の農業が壊滅する」などと言っているような時代ではなく、グローバリゼーションという既成事実の中で農業の生き方を摸索して行く時代であると、TPP反対派はきちっと理解せねばなりません(※2)。
凡そ2年前『人物を得る』というブログでも述べた通り、要するに政治というものは畢竟「人を動かし、世を動かすこと」ですが、人も動かせねば世も動かし得ない人が政治家になっているが故、当該問題を前進させるのに此れ程までの時間を要してしまったわけです。
安倍総理は今朝の会合で「日米首脳会談の成果を踏まえ、首相として国益にかなう最善の道をできるだけ早く判断したい」という考えを示したと報じられていますが、これからはその言葉に沿う形で先ずはTPP交渉参加に向け、兎に角どんどんと話を進めて行って頂きたいと思う次第です(※3)。

参考
※1:農林水産省 食料需給表「平成23年度の食料自給率について
※2:2012年11月29日北尾吉孝日記『衆院選争点に対する私の考え方~原発、TPP、国防軍~
※3:2013年2月26日日本経済新聞『首相「最善の道できるだけ早く判断」 TPP交渉 経済再生本部で




 

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