北尾吉孝日記

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安倍ノミクスの「3本の矢」、即ち金融政策・財政政策・成長戦略に関して、此の金融・財政政策については着実に進展しているように思います(※1)。
取り分け金融政策については一昨日日銀の新体制が発足し、これから本格的な金融緩和に向けた取り組みが為されて行くであろうと期待されています。
また財政政策についても、先月26日に12年度補正予算が成立し一応の動きを見せており、その中身を見ても嘗てのように十分な需要を見込み得ない新幹線事業に対し多額の予算を計上するなどというものではありません(※2)。
昨年12月の「笹子トンネル崩落事故」は大変な事態となってしまったわけですが、今回の補正は防災・減災に対する投資にも重点が置かれており、様々な所で老朽化してきている社会インフラの改善等に資金を投下するのは、大変結構なことだと私自身は思っています(※2)。
最後の成長戦略に関しては、大きく言えば所謂新産業育成策というものと構造政策というものに分けられると思いますが、前者については言うまでもなく、例えばiPS細胞(新型万能細胞)のような革新的なものに、政府として如何なる形で産業の広がりを持たせ得るかが大事になってきます。
即ち、リプログラミング(初期化)の分野は正に次の創薬に繋がるものであり、他方で食料等々の医療以外の分野においても様々な形で広く利用されて行くものですから、単に医学の領域だけでなく他の領域も含めて如何に産業の広がりを創って行くかということに、政府としてどれだけの貢献が出来るのかが大事だと思います(※3)。
それから、もう一つの構造政策に関しては更に規制緩和策と競争政策に分けられると思いますが、前者については例えば大衆薬のネット販売解禁が少しずつ動き出しており、全面解禁に向けて尚一層徹底的に推進せねばならないと思っています(※4)。
そして、ある意味此の規制緩和策と一体化して進めて行かねばならないのが競争政策ということであり、その競争政策を進めて行く流れの中で先日漸く安倍総理が交渉参加を表明したTPP(環太平洋戦略的経済連携協定:Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement)というものもあります。
TPPとは、グローバルに公平なる競争を追求して行こうという考え方でもあり、今後は益々FTA(自由貿易協定:Free Trade Agreement)が世界的に一つの流れとなって全盛時代を迎えて行くのだろうと思います(※5)。
之が結果として、此の競争政策の推進に繋がって行くということが大変重要だと考えており、今一部で騒ぎとなっている農業の問題についても、当該分野では極めて過保護になってきたような部分がこれまであったわけです(※6)。
例えば、先日の「大機小機」でも指摘されていた農業共済などを見ても、「テレビ広告で加入者を勧誘する、事実上の巨大な保険会社でありながら、法人税等の優遇策を受けている」のですから、やはりそうした類は直ぐにでも取っ払う必要性がありましょう(※7)。
最後にもう一つ、此の構造政策の中の競争政策において大事なことは新陳代謝だと考えており、時代に取り残され国際競争力を喪失したゾンビ企業は潰して行く、という考え方をやはり持つべきではないかと思います(※8)。
即ち、衰退の一途を辿る企業に幾ら追い銭を注ぎ込んでみても、最早再生不能であるということが結局分かるだけのことですから、徹底した競争政策により新陳代謝を図りながら、より強い国際競争力を持った産業群を育てるのが、本来の競争政策というものだと私は認識しています(※8)。
以上、此の安倍ノミクスの「3本の矢」の内の一つ、成長戦略についても早急に政府としての考え方をきちっと纏め、どんどんと推進して貰いたいというふうに思っています。ただ、自民党のいわゆる族議員達が業界の既得損益を守ろうとしているのが気がかりです。例えば、発送電分離の話が骨抜きにされそうなことになってきているようですが、またこうした自民党の悪い所が出てくれば規制緩和や競争政策が進まなくなります。

参考
※1:2013年1月9日北尾吉孝日記『「安倍ノミクス」への期待感~デフレ脱却と金融政策~
※2:2013年1月31日北尾吉孝日記『「安倍ノミクス」を巡る諸論点
※3:2012年10月9日北尾吉孝日記『山中伸弥教授の快挙を受けて
※4:2013年3月21日Yomiuri Online「薬のネット販売、官邸と自民厚労族の間で攻防
※5:2012年11月29日北尾吉孝日記『衆院選争点に対する私の考え方~原発、TPP、国防軍~
※6:2013年2月26日北尾吉孝日記『「TPP共同声明」を受けて
※7:2013年3月16日日本経済新聞「アベノミクスと規制改革(大機小機)」
※8:2012年11月14日北尾吉孝日記『「ルネサス経営再建問題」について




 

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