北尾吉孝日記

この記事をシェアする

中国の習近平国家主席の初の外交先は、ロシアとアフリカ諸国を中心に展開されたわけですが、之については中国としての戦略が滲み出た非常に考え抜かれた訪問国の選択ではなかったかというふうに捉えています。
先ずロシアについて言えば、中国と同じく日本との間で領土問題を抱えており、当該問題に対する一致協力した取り組みを両国間で再確認する、という狙いが恐らく一つあったのではないかと思います。
そしてまた、当ブログでも時々指摘してきたように、将来的な意味も含め中国にとっての大きな課題としてエネルギー源の確保ということがあり、そういう中で当然ながら今回も当該問題が話し合われ「エネルギー協力強化で合意」したということがあります(※1)。
それからもう一つ、中国の軍事力というのは近年独自技術も加えてきてはいるものの、昔からその技術開発の根幹を旧ソ連に置いており、今後の兵器の改善面や開発面の軍事的核心において未だロシアに期待する部分もあるのかもしれない、というふうに考えています(此の辺りに関して詳しいことは分かりませんが・・・)。
次に片一方のアフリカ訪問の意図について言うと、一つは当然ながら国連における票集めということ、つまりアフリカ諸国の信任を経済的援助で以て買おうとする中国の戦略ではないかと思います。
そしてもう一つは、中国として既に鉱物資源など多くの原材料を輸入している資源豊かなアフリカから、将来を見据え天然資源や食料といったもの全てを可能な限り確保すべく、習主席は6度目となるアフリカ訪問を初の外遊先として選んだのだろうと思います(※2)。
他方、就任以後の安倍総理の外交戦略についても考えてみますと、之は之でそれなりに様々な事柄を勘案した上で展開されているように思われ、どちらかと言えば私はポジティブに捉えています。
先ず米国への訪問については、日本の領土問題というものを色々な形で顕在化させてきた主因、即ち民主党政権下である意味ぎくしゃくした日米関係というものを如何にして再構築するかという狙いは当然あったのでしょうし、沖縄県を巡る基地問題についても何とか終結させるべく如何に妥協点を見出して行くかということも勿論あったと思われます。
また、例えば中国の隣国・モンゴルへの先月末の訪問についても、地政学的観点のみならず膨大な未開の鉱物資源を中心とした天然資源および所謂「家畜(羊、牛、馬、山羊、駱駝)」といった大量の食料を有する国でもあるわけで、日本としては何としてもモンゴルとの関係性を深めながら中国に対するある種の牽制を引いて行かねばならず、之は戦略的に非常に大事なことだと思っています(※3)。
私自身も昨年夏、大統領や農業経済大臣等にお会いすることを主目的の一つとしてモンゴルに出張してきましたが、そこで様々な人と話をして良く分かったのは、モンゴル人は中国人が大嫌いだということです(※3)。
一方で歴史的に見れば、中蒙間の貿易関係は非常に強くモンゴルのモノは何でも買うといったスタンスで中国は臨んでいるわけですが、そこに日本が入り込むというふうになれば、中蒙関係というものもまた新たな形で再構築されてくるのかもしれません(※3)。
昨年8月末のブログ『モンゴルの地で感じたこと~今、日本の進むべき道~』でも述べた通り、前記した資源・食料といった日本に無いものを膨大に有するモンゴルに対しては、日本の国土と同程度であるモンゴルの4分の1を日本が平和裏に租借し、日本の持てる力を全て使って大開発を行い、そしてモンゴルの経済発展に寄与するということが出来たならば、日蒙両国にとってどれ程素晴らしいことか、という気持ちを私は今も変わらず持ち続けています。
最後に今月末と伝えられる安倍総理の訪露についても述べておきますと、日本のシベリアでの資源開発に関する技術力に対して絶対的な信頼性を置いているロシアからしてみれば、中国に期待するところより遥かに大きいものを日本に期待しているのではないかと思います。
そしてまた、日ソ中立条約が破棄されて以来、ロシアとの間には未だ「平和条約」が締結されていませんから、日本との国交回復を成し遂げたという一つの歴史的功績を残すことが出来る状況を、プーチン大統領としても期待しているのではないかと思われます(※4)。
更には、嘗てより繋がりが深い旧ソビエトの中東欧諸国とロシアとの関係は最近悪化してきており、ロシアに対するエネルギー依存体質の脱却を図っているという状況の中で、日本をエネルギーとりわけ天然ガスの最大の買い手と位置付けワークして行くというのは、ロシアとしても当然考えていることでしょう。
先月11日のブログ『東日本大震災から二年~原発政策最大の問題解決に向けて~』でも「恐らく安倍総理の訪露の狙いも北方四島の内2島の返還でないかと思われ、残りの2島については交渉継続になると見ています」と述べましたが、2島返還2島交渉継続という戦略の下で日本は次のステップに進んで行き、そういう中で中国の現在の戦略というものを大きく打ち破り新機軸が描かれて行くのだろうと思います。
要は、こうした戦略をどれだけ速やかに打って行けるかというのが日本外交の中心になるべきことであって、昔のように何も主張せず資金だけを拠出して成果らしい成果も得られない、といった愚かで恥ずかしい外交は二度としないで頂きたいと私は痛切に思っています。

参考
※1:2013年3月23日日本経済新聞「中ロ首脳、エネルギー協力強化で合意
※2:2013年3月26日ニューズウィーク日本版「習近平、アフリカ重視外交のしたたか
※3:2012年8月31日北尾吉孝日記『モンゴルの地で感じたこと~今、日本の進むべき道~
※4:2009年3月24日北尾吉孝日記『ロシアの現状と今後の戦略




 

(任意/公開)
(任意/非公開)



Copyright © SBI Holdings, inc. All rights reserved.