北尾吉孝日記

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先々月17日の致知出版社メールマガジン「偉人たちの一日一言」では、「子育ての秘訣」として「子供には高いものを豊富に与えて置かねば成人して偉くならない」というふうに、安岡正篤先生が言われたと紹介されていました。
子供夫々がどういう境遇に生まれるかにより、その人の衣食住の程度が決まってくるわけですが、先ず以て安岡先生が如何なる真意で上記発言をされたかと考えてみるに、一つは心を豊かにするということは、子供の時にあった方が良いということではないかと思います。
例えば、私は個人的な寄付により埼玉県嵐山町に社会福祉法人慈徳院(こどもの心のケアハウス嵐山学園)という情短施設(情緒障害児短期治療施設)を設立しましたが、その施設の子達からは施設で与えられる御飯だけでなく、「たまには何処かに食べに行きたい」という要請が結構あります(※1/※2)。
即ち、仮にその何処かがラーメン屋といった所であったとしても、子供なりに何となく贅沢な気持ちになるということであって、そういうことが子供達に非常に良い影響を与えるというふうに、昔ある施設の先生が言われていたように思います。
また嘗て私はバスをチャーターし、50人位を収容していたある施設の子供達全てを東京ドームホテルのバイキングに招待したことがありますが、やはりその時も「こういう贅沢な雰囲気を一度でも味わわせると、子供の心が豊かになります。全く経験せずに過ごすより、本当に豊かになります」というふうに、園長先生が私に仰っていたと記憶しています。
当該バイキングに招待した子供達の多くは、「こんなに美味しい物を食べたことはない」と言って後に礼状を書いて送ってくれましたが、そうした手紙の中の一つに「本当に有難う御座いました。こんなに美味しい物は食べたことがなかったです。これからも食べることはないと思います」というふうに書いてあったことに、私は大変なショックを受けました。
と言いますのも、その時私は「子供達は自分の未来をも、ある意味非常にネガティブに考えているのか」と思ったからであり、「こういう子供達を何とかしないといけないなぁ」というふうに強く思った次第です。
子供というのは、例えば「あの人は何時も良い物を持っているのに、自分の持ち物は・・・」といった形で常に相対観で物を考える傾向があり、常に負けていると感じている人は何か僻みっぽくなったりするということが結構あるように思います。
他方で、それ程裕福でなくとも多少の無理を承知の上で親が出来る限りのことをしている状況の中で育った子供というのは、余りがつがつした面がなく豊かな心というものが育っているように感じます。
そして、そういう子供は一つの落ち着きや品位といったものを持っているように思われ、甘やかすということとは少し違った意味で、「子供には高いものを豊富に与えて置かねば成人して偉くならない」ということもあるのではないかとも思います。

参考
※1:2010年11月8日北尾吉孝日記『社会貢献活動の一つの在り方~森信三全集を現代の若者達へ~
※2:2012年8月17日北尾吉孝(SBIホールディングス) – Facebook




 

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