北尾吉孝日記

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参院選後の安倍政権が近々直面する難題の一つに、当ブログでも時々取り上げてきた来春予定の消費税増税の最終判断ということがありますが、之について安倍首相は「さまざまな経済指標を勘案し、デフレ脱却、経済成長、財政再建の条件をクリアしていくために何をすべきか、秋に判断していきたい」と述べているようです(※1)。
昨年2月のブログ『日本経済のサステナビリティ問題について』等で何度も指摘してきた通り、サステナビリティ問題を解決する一手段としての消費税増税を私は一概に否定しませんし、財政健全化ということが最終的には成し遂げられねばならないのは言うまでもありません。
また、諸外国は日本に対して世界経済の不安定要素の一つは日本の財政危機だという認識をやはり持っており、IMF(国際通貨基金:International Monetary Fund)等はずっと増税の必要性を主張し続けています。今回も麻生財務相は「20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議終了後の記者会見で、来年4月に上げる方向で予定通りやりたいと語った」わけですが、日本が財政再建にきちっと立ち向かっているということを世界は示して貰いたいというふうに思っているとは思います(※2)。
唯、今問われているのは、未だ日本経済の最優先課題「デフレからの脱却」が不十分な段階で法律の規定通りに増税を断行するのか否かということであり、所謂「安倍ノミクス」効果により日本経済が多少上向いてきているとは言え、その部分は非常に慎重を期して判断すべきことだと思います。
私見を述べるならば、例えば内閣官房参与・エール大学名誉教授の浜田宏一氏が最近提唱されている「来春の引き上げは2%にとどめて7%とし、その後、4-5年かけて10%まで税率を小刻みに積み上げるという緩衝策」は良案であろうと思います(※3)。
即ち、来春に一気に引き上げるというのではなく、取り敢えず増税に取り掛かるけれども上げ幅を狭くして少しずつ積み上げて行くとか、場合によっては経済が急激なダメージを受けるということであれば、之を更に遅らせて調節をしつつまた様子を見ながら慎重に積み上げて行く、といった考え方をとってみてはどうかと思うわけです。
そうした形で段階的に進めている限りにおいては、世界も日本の取り組みに対してさほど厳しい目を向けてこないでしょうし、今漸く『「アベノミクス」の景気回復効果によって税の自然増収に弾みがついてきた』中で、結局経済が元の木阿弥になってしまっては仕方がありません(※4)。
嘗て橋本龍太郎政権時に経験したように、折角よちよち歩きし始めた日本経済が今回もまた消費税増税により下手に腰折れするということになりますと、此の数ヶ月間に何をやってきたのか分からないというような状況にもなりかねず、やはりその部分を良く見極めた上で最終判断が為されるべきだと思っています(※5)。

参考
※1:2013年7月22日中日新聞『首相、消費増税は「秋に判断」 経済指標を勘案
※2:2013年7月22日ロイター「〔アングル〕消費増税の実施、秋に最終判断 先送りなら政治リスク
※3:2013年7月16日ロイター「アングル:浜田氏が小刻み消費増税提唱、景気配慮へ折衷案
※4:2013年7月14日MSN産経ニュース「アベノミクス効果で税収増 消費増税なしの財政再建可能
※5:2013年3月11日北尾吉孝日記『日米相場展望




 

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