北尾吉孝日記

『東洋史観に学ぶ』

2014年1月17日 17:52
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私は今、東洋史観とりわけ東洋史観における軍略というものについて研究しており、先日も鴇田正春著『今こそ、東洋の知恵に学ぶ』(2011年8月発行/メトロポリタンプレス)という本を読んでいました。
以下、本ブログでは上記書籍より多数引用する形で述べて行きたいと思いますが、取り敢えずは東洋史観とは何か、東洋史観の軍略とは何か、というところから始めたいと思います。
鴇田氏曰く、東洋史観とは「東洋的な自然観を基に体系づけられた知恵の集積」のことであり、東洋史観における軍略とは「人間集団の大計を誤りなく次の時代へ誘導するために考え出された知恵」のことです。
東洋史観の「起源は古く、古代中国に端を発する万象学で、(中略)歴史的には、唐の時代(六一八‐九〇七)に学問として体系化され、宋、明、清などの時代に帝王学として発展している」ものであり、近年になって当該領域で第一人者とされる「故高尾義政文学博士によって現代に即して体系化され」ました。
此の高尾氏の御弟子が鴇田氏なのだろうと思いますが、実はその鴇田氏が書いた上記『今こそ、東洋の知恵に学ぶ』の「2011年8月10日 第一刷発行」とは、第六十一代内閣総理大臣・菅直人氏の後継が誰になるのかという時期でした。
今から3年前の夏にあって、鴇田氏は下記で例示するような先を見通す実に予言めいたことを述べているわけですが、今回この本を読んで東洋史観というものを徹底的に研究しようというふうに改めて思いました。
先ず中国について御紹介しますと、例えば『胡錦濤国家主席は六代目にあたり任期は二〇一二年までである。この代から「陰回転」が始まっていて、対外的なことよりも国内に目を向ける傾向が生まれる。さまざまな面で複雑な政治が行われ、理解しにくい現象も出てくる。この代の最大のリスクは、前の五代目において国家権力と対外的威信が高まっているために、武力に頼りやすい傾向を持っていることである。次の七代目になると、国家側が国民に振り回されるような状況が生まれ、何事も秘密のうちに行われるようになる。大衆が予測しない事柄が突然起きたりして、大衆と政府との間に溝ができやすくなる。指導者自身に相当の知略が必要とされる代である。(中略)二〇一一年からは権力期に移行する。それは共産党の権力が国民を圧迫するような社会現象が表れることを示唆している。共産党支配体制が表面に見えるほど安定していないためである。そして共産党は十年後の二〇二一年からは動乱期に入ることになる』ということが書かれています。
また、米国に関する言及もよく当たっていますが、私にとっては日本の方が面白く感じられ、例えば「現在の日本は、陰の時代から陽の時代への転換期にある。すなわち国家が最も混迷し衰退した時期を脱し、次の上昇期へ向かう国家再生の出発点に立っている。今は次の陽の時代を一段高い次元の国家として迎えるための準備時期にあるといえる」とか、あるいは「世の中に少し明るさが出てくるのは、教育期の後半に入る平成二十五年(二〇一三)頃からであり、日本が再び陽の発展期である経済確立期を迎えるのは平成二十九年(二〇一七)からとなる」といった東洋史観の示唆を得ています。
「時代と首相の代数」ということでは、『首相の代数で問題になるのは、①時代と首相の代数が合致しているか、②政策と首相の代数が合致しているかである。一致していればその指導者は役割を果たすことができ、一致していなければ役割を果たせず短命政権に終わるか、あるいは国民に不幸をもたらすかのどちらかになる。政治家が成功するためには素質もさることながら、「時代・政策と代数」の一致度が重要なのである』として、「日本が動乱期(金性)および教育期(水性)になってから」の八名の総理大臣が「簡便法(国家の議決により総理大臣の指名を受け組閣した人物の順次)」に基づいて書かれています。
「時代に一致しない」三名として五十四代(火性)小渕恵三氏・五十九代(火性)麻生太郎氏・六十代(土性)鳩山由紀夫氏が、「時代の先を行ってしまう」二名として五十七代(水性)安倍晋三氏・五十八代(木性)福田康夫氏が、そして「時代に遅れてしまう」二名として五十五代(土性)森喜朗氏・六十一代(金性)菅直人氏が載っています。
時代と代数の関係を相生相剋理論で見れば、森氏・安倍氏・福田氏・菅氏は「お互いが助け合う関係(相生)」にあったものの大事を為し得なかったと言えましょうが、「その中で小泉首相の代数が時代と合致していて、本領を発揮しやすかったことが分かる。また、西方の攻撃型に位置するため、動乱的な社会現象を起こし、外交面での処理も速いということになる」と述べられています。
そして、「ブロック別代数:五代を一つのブロックとして、六ブロック(A、B、C、D、E、F)三十代で社会現象の循環を分析する手法」で見ると、『現在の日本は、国家が最も混迷し衰退する「Fブロック」を脱し、六十一代からは、国家の上昇期である「Aブロック」を迎えている。この「Aブロック」の特徴は国家権力が上昇することである。国家の方針が優先し、対外的な国威を引き上げようとする動きが出てくる。(中略)日本が前回「Aブロック」を通過したのは、三十代前の吉田首相の治世である』ということで、今正に安倍首相がやられている「アベノミクス」を指しているのだろうと思います。
更には、現在の安倍首相について「六十三代(木性)は、時代の先を走ってしまう要素がある。新しい政策を打ち出すよりも物事を守ることが役割となる。精神性の高さよりも、庶民性のある人物が求められる。守る意識が強まる結果、国の防衛力強化に踏み出したり、そのための憲法改正を推進したりする。この政権発足の前後に対外的なトラブルが発生すると、それが引き金になる可能性もある。この代は守りの平和の領域なので経済中心の政策を進めることが役目で、武力的な姿勢を押し出すと混乱が生じることになる」としています。
最後にもう一節、『今後の日本の行方(中期的)を総合的に判断しようとすれば、時代(教育期)と社会(Aブロック内閣)を重ねたものになる。「日本は長かった陰の時代を抜け陽の時代へ向かい国家の再興が始まる。新しい知識や知恵が求められ、人材育成に力が入れられる。そして国家体制の強化と諸々の再建策が動き出すことになる。対外的な国威を高めようとする動きが出て国民よりも国家が優先される」』ことに伴い「長期政権を担う政界の新しい枠組みの形成」、「国家の安全保障と食料・資源の確保」、「財政再建のための大幅な増税」、「経済のデフレからインフレ基調への変化」、「憲法と教育基本法の改正」、「指導者層の新旧交替」といった「課題に直面することになろう」とも書かれており、兎に角この東洋史観というのは余りにも良く当たっていますから、やはり深く研究する必要があるのだろうという気になっています。




 

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