北尾吉孝日記

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今月15日、「習政権1年 安定重視、改革減速も」という日経新聞記事がありましたが、胡錦濤・温家宝体制より習近平・李克強体制に移行した中国を如何に評価すべきかということでは、率直に申し上げて現段階では未だ判定し難いものがあります。
但し、上記記事でも「党中央委員会第3回全体会議(中略)、決定した改革案の主要起草メンバーに李が入っていないことが表面化」や「李が裁量で決められる分野は民生・福祉分野などに限られているとの見方」、あるいは『習は経済に加え、社会、行政、司法など幅広い改革を統べる「全面深化改革指導グループ」の設置を打ち出し、自らがトップに就く』といったことが書かれていますが、現況を見るに習氏が余りにも力を持ち過ぎているがため、「このまま行って大丈夫かなぁ~」というふうに何か怖さを感じなくもありません。
習氏への権力集中の状況を「毛沢東のように強権を欲し、鄧小平のように改革の看板を掲げる」と評する「高級幹部の子弟」もいるようで、私としても現在彼は毛沢東・鄧小平に次ぐような類稀な指導力を発揮しているのは間違いないと見ています。
今の中国のはっきりとした姿というのは習近平という指導者が、『偉大な中華民族の復興』という中華思想だけで凝り固まっていて偉大なる中国の復権のためには環境問題資源問題あるいは領土問題等で「当事国とぎくしゃくしようが関係ない」「他国の状況を斟酌する必要なし」といった姿勢を示して行くのか、はたまたこれから後『経済大国たる中国の責任』に関する認識を改めて中国として世界との調和をどう図り世界の繁栄に如何に貢献して行こうと思っているのか、といった部分がよりクリアーにならなければ中々見えてこないものだと思います。
あるいは、中国においては経済の民主化から政治の民主化という何者も抗し得ない一つの時代の流れにあるわけですが、今後の習氏の出方次第では、現路線の延長線上で政治の民主化ということを全く図らない単なる共産党の剛腕能吏と称されるかもしれませんし、それとは対照的に寧ろ勇気を持って共産党一辺倒を廃し中国民主化を導いた大変な偉人という称賛を受けるかもしれません。
此の習近平一極集中下の中国には怖い部分があるというふうに先に述べましたが、安定という意味で言うと余りにも権力が分散した状況では問題がありますから、少なくとも短期的には今のような状況の方が望ましいと言える部分もあろうかと思います。
しかしながら、より長いスパンで中国という国の在り方や如何にと言えば、やはり民主国家として自由や平等を標榜し現代的価値観というものを守るような国であって欲しいと思いますし、そうでなければ何れそれが国家を揺るがすような不安定材料に繋がって行く可能性もあるのだろうと思います。
そもそもの前提として、国が一つの価値観で上手く回るという社会経済構造が成り立っている場合においてのみ、一つの流れの中で政治的安定をずっと維持し得るわけですから、「保8(8%GDP成長率の維持)」が崩れ7.5%成長も危ぶまれている経済状況や、小なりと言えども民族紛争の勃発や労働争議の多発している現状からすれば中国共産党一極の社会経済構造も、そろそろ難しいところにきているのではないかと思われます。恐らく10年も経たない内に幾つかの政党が結成され、選挙をせざるを得ない状況になってくると私は見ています。




 

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