北尾吉孝日記

この記事をシェアする

中国情勢の今』というブログを今月17日に書きましたが、韓国にとって中国は「最大の貿易相手国、最大の輸出相手国、最大の輸入相手国、最大の海外投資先国で、両国間貿易額は韓米、韓日、韓欧の貿易総額を超えた」のが現況です。
韓国は今必死になって中国に擦り寄って行こうとしており、今月初旬の習近平国家主席訪韓時にも「中韓、関税撤廃の対象詰めへ 日中韓FTAに影響も」という記事がありましたが、中韓FTA(自由貿易協定)は年内妥結に向けた着実な進展が見られます。
言うまでもなく「中韓FTAが早期に妥結・発効すれば、対中戦略で韓国企業は競合する日本企業に優位に立てる」わけですから、日本として中国向けの輸出がやはり相当なダメージを受けることになるでしょう。
従って上記した中韓の動きに備えるという意味でも、日本はTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)を一刻も早く決着させねば大事な部分とりわけ自動車の分野で、また韓国勢にやられて行くということにもなりかねません。
先日韓国に出張した際、金浦国際空港に中国人がわんさかいて町中中国人で溢れ返るような状況だったのに驚きました。日本人女性が韓国に大挙して押し掛けブランド品を買い漁るといった一時期見られた光景は最早様変わりしています。
之は日中・日韓の間で歴史認識問題や領土問題等の諸問題を抱える中、日本人がある意味警戒して韓国に行かなくなったということと共に(参考:日本人出国者の主要国別・地域別の月別統計データ)、中国も韓国を取り込んで行こうということで「今年韓国を訪れる中国人旅行客が600万人まで増加すると見込まれ」ています。
更には『韓国を訪れる中国人が急増、ビザ免除になれば「新たな次元」に突入か』(14年7月12日)といった予測もありますが、中韓はその「経済、貿易、人文交流の全面的深化を背景に、2014年、韓国はタイを超え、中国人の海外旅行先の人気ナンバー1になる」とも言われます。
中国からの「観光客がいなければ、明洞では閉鎖に追い込まれる店舗が出る」とされる程「韓国国内市場の対中国依存度も日増しに上昇している」上に、中国の「韓国属国化」とも形容されるぐらい貿易・不動産・ファイナンス等々今あらゆる経済分野で中国は大変な影響力を有しています。
このように国と国との関係が片一方はどんどん親密になり片一方はどんどん疎遠になって行くという中で、今後中韓が益々一体になって歴史認識だ何だと世界中で一層盛んにアピールして行くのではと私は非常に危惧しています。
事実先述した上記会談の後、中韓両首脳は「日本の集団的自衛権の行使容認などに関して強い懸念を示すことで、対日批判で共闘のスタンスを取ることを明確にした」わけで、やはり日本も両国との懸案事項に関して何時までも何の解決策もないまま同じような調子を続けていたら、日本だけが更なるマイナスを様々被るような形になって行くであろうと思います。
また昨今、日本が北朝鮮に対する手綱を緩めるという中で、彼の国はほいほいとそれに乗っかってき日本との関係を良化に向かわせ、中韓との間の険悪になった状況を日本で埋め合わせようとしています。
例えば真壁昭夫・信州大学教授も今月15日にある記事で、「足もとで朝鮮半島情勢にねじれ現象が出ている。中国が韓国の取り込みを狙うと同時に、北朝鮮が拉致問題などでわが国に歩み寄りの姿勢を示しているからだ。金正恩の本音がどこにあるのかは今ひとつ不明なものの、北朝鮮がリスク分散を図っている意図が見られる」との指摘を行っていますが、日本として北朝鮮との関係には余程の注意を払い慎重を期して事を進めて行かねば、今度は韓国のみならず米国との関係にまでネガティブに働く可能性があります。我々はそうしたこともきちっと認識しておくべきだと思います。
それから最後にもう一つ、韓国の場合は勿論いつ何が起こっても可笑しくない北朝鮮という隣国の脅威に絶えず晒されているわけですから、米国との関係がぎくしゃくせぬよう常時どうしても米国を意識し続けねばなりません。
何故なら当該部分に対する十分な考慮なかりせば、民主党政権誕生の後日本の近代史上稀に見る外交音痴の総理が二代に亘って続いたがため日米関係は急速に悪化し、日米間の箍が緩み始めたところから所謂「尖閣諸島中国漁船衝突事件」が起こり、そして更にはロシアのメドベージェフ大統領が国後島を突如訪問するといった具合に、他国に付け込まれた一時期の日本のような事態が生じるリスクがあるからです。
そういう意味では韓国も片一方で、「今のレベルでの中国べったりで本当に良いのか。中国はそこまで信頼できる相手であろうか」と、日米と天秤に掛けながらよく考えてみる必要があるでしょう。
中韓の貿易額が米韓と日韓の合計より大きくなったとは言ってみても、今や貿易面だけでなく常にそこには政治という要素が入ってくるわけで、現局面というのは韓国に限らずどの国にとっても大変難しい状況だと思います。




 

(任意/公開)
(任意/非公開)



Copyright © SBI Holdings, inc. All rights reserved.