北尾吉孝日記

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『論語』の「述而(じゅつじ)第七の二十四」に、「子、四(よっ)つを以て教う。文、行、忠、信…孔子は四つの内容によって教育した。その四つとは、教育・実践・忠誠・信義である」という章句があります。
孔子が教えた此の四つに関しては夫々、「文:詩文を通じて様々な表現力を身に付けること」「行:人の道の実践」「忠:真心を尽くすということ」「信:話に偽りがないことで人から信頼されること」と、拙著『君子を目指せ小人になるな』(致知出版社)にも書きました。
そしてまた同書の中で、『これは私の社員に対しての教育方針とも合致します。金融機関の仕事ですから、私は倫理的価値観というものを非常に重視してきました。そういう意味では「文、行、忠、信」のなかでも、とりわけ「信」を非常に重く見て、社員教育の場でも、絶えず「社会の信頼を失うことはないか」「自分自身の信頼を落とすことはないか」を自らに厳しく問うように言い続けています。この「信」は「義」や「仁」とともに私自身の判断の軸になっています』とも述べました。
上記したように先ず文と行(教育と実践)の二つが挙げられていますが、之はそれに続く忠と信(忠誠と信義)というものをきちっと身に付けた一つの倫理的価値観を有する人間になるべく必要とされるものであります。
幾ら忠だ信だと言ってみても、そこに文と行なかりせば何も身に付いてこないわけで、やはり日々真剣勝負での学問修養というものがあって、またそれを日常生活において知行合一的に事上磨錬して行く中で、忠誠や信義が段々と身に付いて行くのだと思います。
拙著『安岡正篤ノート』(致知出版社)の第3章でも述べた通り、人生の辛苦艱難、喜怒哀楽、利害得失、栄枯盛衰、あらゆるものを嘗め尽くすように体験することで知行合一の境地に持って行くことが出来るのであって、やはりそのようにして日々修練し自己修養に勉めなければならないと日々思っています。
故に「子、四つを以て教う。文、行、忠、信」とありますが、私に言わせれば之は寧ろ「忠と信という徳目を得るために、孔子は文と行の二つを実践させた」と言う方が正しいのではないかと思うのです。
そしてまた、私自身が此の孔子の教え方を学び実践してきたからこそ言えるのは、之は忠と信だけでなく他の徳目においても同じように、こうしたやり方で身に付けて行かねばならないのだと思います。




 

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