北尾吉孝日記

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「上、下をみるに3年を要す。下、上をみるに3日を要す」と言われますが、上司というのは部下の仕事全てを把握できるわけでなく、胡麻を擂られ世辞も使われますから部下に対する評価を往々にして誤ります。
『韓非子』の中に、「好を去り悪(お)を去って、群臣、素(そ)を見(あら)わす。群臣、素を見わさば、則ち人君(じんくん)蔽(おお)われず…君主が好悪を見せなければ、臣下はその生地(きじ)を現わす。臣下が生地を現わせば、君主は目をくらまされることがない」という意味の言葉があります。
トップの在り方として、「喜怒を色に形(あら)わさず…喜怒哀楽の感情を顔に出さない、つまり、いつも淡々と事態に対処する」(『三国志』)のが望ましいとされるように、上に立つ者は基本的に好悪の感情を表に出してはなりません。
上記『韓非子』の中にはまた、「智を挟(さしはさ)みて問わば、則ち智(し)らざる者(もの)至(いた)る。深く一物(いちぶつ)を智れば、衆隠(しゅういん)皆変(みなへん)ず」という言葉があります。
之は、「知っているのに知らないふりをしてたずねてみると、知らなかったことまでわかってくる。一つのことを熟知すれば、かくされていたことまで明らかになってくる」という意味です。
私の場合で言いますと、例えばあらゆる会議において、自身の結論は既に得ていながら「君はどう思う?」というふうに、部下の見解を何時も聞き多面的議論が行われるよう努めています。
『老子』にも、「知りて知らずとするは尚(しょう)なり。知らずして知れりとするは病(へい)なり」とあるように、取り分けトップにあっては「知っていても知らないふりをする」ことが一つ大事なのだと思います。勿論、「知りもしないのに知ったかぶりをする」のは重大な過ちです。
また何事によらず、上の者が最初から自己を発してしまえば、下の者は皆右へ倣えしてしまいますから、トップというのは色々な意見をじっと聞いた上で、ニュートラルな立場から最終判断を下す姿勢が常に求められるのだと思います。「おとぼけ」が一番です。




 

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