北尾吉孝日記

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『フォーリン・アフェアーズ・リポート』(以下、FAR)掲載論文を私は毎月欠かさず読んでいますが、今月号においては「シェール資源輸出の衝撃を検証する」という特集が組まれていました。
その内の一つ「再び原油価格変動の時代へ―― 原油価格の低下は何を意味するか」という論文には、今年「6月19日に1バレル115ドルだった原油価格は9月8日までに1バレル100ドルへと段階的に低下した後、10月中旬までには1バレル84ドルへと急落した。(中略)トレーダーたちは石油輸出国機構(OPEC)最大の産油国であるサウジが市場の安定を保つために減産に踏み切ると考え、1バレル90ドルが底値だろうと想定していた」ということが書かれています。
しかしながら「10月20日には、サウジアラビアとクウェートが、価格下落が早急な減産を正当化するわけではないと指摘」し、サウジが「価格下落を容認していると、市場で認識され、価格に対する下落圧力が強まった」わけですが、その後は御承知の通り先月27日開催のOPEC「第166回定例総会で、現行の生産枠(日量3,000万バレル)が据え置かれ」、それを境に価格下落が急激に加速し現在は60ドル割れとなっています。
此の「減産しないサウジの真意」に関し、例えば先週木曜日の日経新聞記事では「第2次石油危機後の1985年に原油価格が急落した際、価格維持を狙いサウジが減産を一手に引き受けた結果、市場シェアを大きく失った」という「痛恨の記憶」が指摘されていましたが、特に昨今はその他様々な識者による色々な見方が数多く報道されています。
それらの中には、①「米・サウジによる対ロシア、対イラン経済を追い詰める展開」や、②米国の「シェール・オイルの開発を抑制させるため」というサウジの「思惑」を挙げる向きもあり、①で言うと「イランは国庫収入の6割、ロシアは5割前後を石油収入に依存しているとされ」ています。
ある商品アナリストが「OPECの最新予想」より指摘するように、『2015年の世界石油需要は前年比+113万バレルの日量9,226万バレルが見込まれている。(中略)OPEC非加盟国の産油量は前年比+136万バレルの日量5,731万バレルとなっており、14年と同様に「OPEC非加盟国の増産量>世界石油需要の増大量」となる見通しである。これは、来年もOPECが減産しなければ原油需給は一段と緩和する可能性が高いことを意味し、仮に現時点でOPECが減産対応に踏み切ったとしても、追加減産を迫られるのは時間の問題』です。
それから更に、恐らくはOPEC最大の脅威である「シェール革命」の世界的進展という観点より述べるならば、例えば米国におけるシェールオイルは此の2014年、「前年比で日量100万バレル増えて、450万バレルに達する見込み」で、対する「全世界の原油需要は今年、68万バレルしか増えません」から『シェールだけで世界の需要増を全てまかない、「お釣り」がくるような状況』です。
FAR(14年5月号)掲載論文「シェール革命で変化するエネルギー市場と価格」にもあるように、「ロシアを抜いて世界最大の天然ガス生産国の地位を手に入れたアメリカは、2015年までには、サウジアラビアを抜いて最大の原油生産国になる」とも考えられており、また「シェール部門の生産効率は加速度的に上昇し、今や年間約25%のペースで効率が高まっている」とも言われるような現況です。
あるいは、5年8ヶ月前のブログ『「時間の関数」と時代の潮流について』でも私は、様々な公害を撒き散らす「石化エネルギーのオイルについて言えば、最終的には石炭と同じ運命を辿るのでは」と述べ、「クリーン・エナジーが世界全体のことを考えるとより大事になってくるかも」等々と指摘しましたが、3.11後あっという間に随分と利用されるようになった日本のみならず、世界中でも今後更にクリーンエネルギーということが盛んに言われるようになって行くのだと思います。
今月も「ソフトバンクがインドにおける1,000万キロワット級の太陽光発電設備への出資に関心を示している」というニュースがありましたが、所謂「アジアスーパーグリッド構想…アジア各国を送電線で結び、風力や太陽光など再生可能エネルギーで発電した電力を各国間でやりとりする構想」を打ち立てるソフトバンクの孫さんと先日話をしていた時も、彼は「日本より日照時間がずっと長いインドで太陽光発電事業をやりたい」とか「風力発電に適した国はやっぱりモンゴルだ」というふうに言われておられました。
「OPEC加盟各国の原油生産コストは、1バレル当たり10ドル台から20ドル台」とも言われ、また「シェールオイルの限界的な生産コストは1バレルあたり50ドルから70ドル程度」とも言われますが、自然エネルギーの相対的コストが十分見合うとなってくる時、それはまたOPECにとっての脅威になって行くのだろうと思います。
本日「サウジアラビアが、2015年予算で原油価格80ドルを想定としているようだ」との報道もありましたが、何れにせよ「イランやロシアに経済的な打撃を与えるため」という見方は少し穿ち過ぎだと思われ、上記した脅威ということで考えるならば、短期的な価格コントロールを目的としてOPECも迂闊には減産し得ず、結局市場メカニズムに委ねるのが最良であろうと発想しているのではないでしょうか。




 

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